京都府 京都市
京都市、碁盤目の通りの歌から山鉾・楼閣・京の味をたどる街歩き紀行
上ル・下ルと通り名の歌を手がかりに、京都御所から東山、西本願寺、伏見へ。建築の仕組み、祭の行列と送り火、漬物や喫茶、駅と車窓、京ことばまでをつないで京都市を読み歩く旅の読み物です。
公開 出典 42件

京都市中心部の住所では、北へ行くことを「上ル」、南へ行くことを「下ル」、東西への移動を「東入ル」「西入ル」と表します。京都市の説明では、碁盤の目の通りには、東西の名を歌う「丸竹夷」と南北の名を歌う「寺御幸」も伝わっています。
京都市の公式説明によると、「丸竹夷」は丸太町通、竹屋町通、夷川通、二条通、押小路通、御池通と、東西の通りを北から南へ順に挙げるわらべ歌です。住所と歌を重ねると、通りそのものが京都を読む手がかりになります。
紫宸殿から時代祭へ、都の時間が重なる道
宮内庁の公式説明では、京都御所の紫宸殿は檜皮葺・素木造で、平安時代からの由緒を持つ正殿とされています。ただし、現在見られる建物は安政2年(1855)に建てられたものです。古い様式と現在の建物の年代を分けて見る場所です。
京都市の公式説明では、本能寺の変が起きた天正10年(1582)ごろ、本能寺は現在の寺町御池ではなく堀川四条付近にありました。寺域は東西150メートル・南北300メートルで、事件後に豊臣秀吉によって現在地へ再建されたとされています。
平安神宮の公式説明では、応天門や大極殿は平安京の朝堂院を約8分の5の大きさで再現し、明治28年(1895)に建てられたものです。京都市の説明では、時代祭では明治から平安まで約1000年分の装いをまとった市民約2000人が、2キロ余の行列をつくります。
銀箔のない観音殿と、東山を支える柱やアーチ
京都市の公式説明では、慈照寺の観音殿には銀箔が貼られておらず、金閣に対して「銀閣」と呼ばれるようになったのは江戸時代以降とされています。南禅寺の水路閣は、琵琶湖疏水の一部として田邉朔郎が設計した、レンガと花崗岩造りのアーチ橋です。
南禅寺参道には湯豆腐を供する料亭が並びます。南禅寺流として紹介される食べ方は、ポン酢ではなく甘辛い出汁を使い、生姜や葱、鰹節などの薬味を添えるものです。水路閣のアーチとともに、参道では豆腐の味わい方にも土地らしさが表れます。
清水寺の公式説明では、「清水の舞台」は釘を1本も使わず、欅の柱を継ぎ手と楔で組む懸造りに支えられています。現在の舞台は寛永10年(1633)の再建で、高さ13メートルの舞台を高さ10メートル・直径2メートルを超える欅の柱18本が支えます。
知恩院の公式説明では、大鐘は寛永13年(1636)に鋳造された高さ約3.3メートル、重さ約70トンの鐘です。除夜の鐘では17人の僧侶が親綱と子綱を使い、心を合わせて108回撞きます。大きさだけでなく、鐘を鳴らす人数と方法にも目が向きます。
三層の金閣から五重塔、池に建つ飛雲閣へ
京都市の公式説明では、金閣は寝殿造の初層「法水院」、武家造の二層「潮音洞」、禅宗仏殿造の三層「究竟頂」で構成されています。金箔が貼られているのは二層と三層で、初層にはありません。ひとつの楼閣で三つの建築様式を見分けられます。
大覚寺の公式説明では、渡月橋はもとは嵯峨天皇の法輪寺参詣にちなみ「御幸橋」と呼ばれていました。鎌倉時代、亀山上皇が橋の上空を動く月を見て「くまなき月の渡るに似る」と述べたことから、渡月橋の名が付いたとされています。
東寺の公式説明では、五重塔は高さ約55メートルです。落雷などによって4度焼失し、現在の塔は寛永21年(1644)に再建された5代目にあたります。塔内には空海が唐から持ち帰った仏舎利が納められていると説明されています。
西本願寺の公式説明では、国宝・飛雲閣は名勝「滴翠園」の池に建つ三層柿葺の楼閣で、初層は入母屋造り、二層と三層は寄棟造りです。国宝・唐門は豪華な彫刻に見入って日暮れを忘れることから「日暮らし門」とも呼ばれ、2018年から2021年に修復されました。
伏見稲荷大社の公式説明では、千本鳥居は崇敬者が祈りと感謝の念を鳥居の奉納で表す信仰から形作られたとされています。この信仰は江戸時代に興ったもので、並ぶ鳥居を奉納という行為から読み直せます。
斎王代、縄がらみ、送り火が描く祭の京都
京都市の公式説明では、葵祭の「路頭の儀」は、五衣を着て腰輿に乗る斎王代を中心に、総勢およそ500人が平安装束で都大路を進む行列です。馬36頭と牛4頭、牛車や飾り傘も加わり、京都御所の建礼門から出発します。
京都市の公式説明では、祇園祭の「山建て」「鉾建て」では、釘を使わず縄がらみだけで山鉾を組み立てます。その後には試し曳きの「曳き初め」が行われ、宵山期間には駒形提灯の明かりと祇園囃子のなかで山鉾を鑑賞できます。
京都市の公式説明では、祇園祭の山鉾巡行は、刺しゅうや舶来の織物などの懸装品で飾られることから「動く美術館」と呼ばれます。巡行中、山鉾が方向を変える「辻廻し」も見どころのひとつとされています。
京都市の公式説明では、五山送り火は大文字、妙法、船形、左大文字、鳥居形の順に5分おきに点火され、お盆の精霊を送る行事です。大文字では、護摩木に自分の名前と病名を書いて奉納し、火床で焚くと病が癒えるという信仰が伝わっています。
錦の台所から漬物、鯖、にしんへ続く味の道
「京の台所」と呼ばれる錦市場では、歩きながら食べる「歩き食べ」がマナーとして禁止されています。京都観光Naviの説明では、おばんざいは旬の京野菜や乾物を使い、食材を無駄にしない工夫と感謝を込めた家庭の惣菜とされています。
千枚漬は聖護院かぶらを薄く切り、昆布とともに漬ける漬物です。上賀茂周辺に伝わるすぐきは、酢を使わず塩漬けと発酵だけで酸味を生みます。大原と結びつくしば漬けは、なすと赤しそを漬け込み、赤しその香りと乳酸発酵による酸味を備えています。
八ツ橋には、米粉、砂糖、ニッキを混ぜて蒸した生地を薄く伸ばし、焼いて仕上げる硬い菓子と、同じ生地を焼かずに切り分けるやわらかな生八ツ橋があります。あん入りの生八ツ橋を単に「八ツ橋」と呼び、焼いた方を「焼き八ツ橋」と呼ぶこともあります。
京都の鯖寿司は、保存性の低い鯖を若狭湾から京都へ運ぶ過程で生まれた鯖の酢漬けに由来するとされています。にしんそばは北海道から運ばれた身欠きにしんを甘辛く煮て蕎麦に載せる料理で、南座隣の「松葉」2代目が考案したと伝わっています。
京都のラーメンは、豚をベースに濃い口醤油で仕上げるもの、鶏と野菜などを煮込むもの、鶏ガラスープに豚背脂を加えるものという三つの系統に分けられます。いずれも濃厚なこってり味で、具のネギには柔らかく風味の甘い九条ネギが使われます。
総務省の家計調査で、京都市はパンの消費金額が長年全国上位に入り続けています。コーヒーの豆・粉についても、年間の消費支出額と消費量が全国上位です。漬物や京料理だけでなく、パンとコーヒーも京都市の食の輪郭を形作っています。
イノダコーヒの名物モーニング「京の朝食」には、ハム、スクランブルエッグ、サラダ、クロワッサンとブレンドコーヒーが付きます。一保堂茶舗の公式案内では、京都本店の喫茶室「嘉木」で、スタッフに淹れ方を教わりながら自分で日本茶を淹れて味わえるとされています。
灯台形の塔から、嵐山と紅葉の車窓へ
京都駅ビルの公式説明では、現在の駅舎は1990年の国際コンペを経て原広司案が採用され、1997年に開業した4代目です。京都タワーの説明によれば、白い塔は灯台をモチーフとし、展望室は1964年12月28日に開業したとされています。
京福電気鉄道の公式説明では、嵐電の四条大宮~嵐山間は1910年(明治43)3月25日に運輸を開始しました。叡山電車の説明によれば、展望列車「きらら」は中央の8席を窓側へ向け、市原~二ノ瀬間の「もみじのトンネル」を楽しめるよう設計されています。
通りの歌で始めた旅を「おおきに」で結ぶ
京ことばの「おおきに」は、本来の「たいへん」「たいそう」という意味から、「ありがとう」を略した感謝の言葉として使われるようになりました。「はんなり」は、陽気で上品な明るさを表す言葉です。通り名の歌で始めた京都市の旅を、二つの京ことばの意味で結びます。
京都市クイズ
全3問Q1
京都市中心部の住所にある「上ル」は、どちらへ進むこと?
残念、不正解 正解は ア「北へ進む」
京都は碁盤の目の街で、北へ向かうことを「上ル」、南へは「下ル」、東西は「東入ル」「西入ル」と書きます。由来には御所へ向かうから「上る」とする説と、北ほど土地が高いからとする説があり、後者がより有力とも紹介されています。街角の住所表示を探してみて。
Q2
清水寺の「清水の舞台」を支える構造。柱や貫の固定にほとんど使われていないものは?
残念、不正解 正解は ア「釘」
公式説明では、舞台を支える柱や貫は釘を使わず、継ぎ手と楔で固定する伝統工法で組まれているとされます。高さ13メートルの舞台を支えるのは、高さ10メートル・直径2メートルを超える欅の柱18本。舞台の下へ回って、柱の組み方を見上げてみてください。
Q3
京都五山送り火で、いちばん先に点火されるのは?
残念、不正解 正解は ア「大文字」
京都市の観光公式サイトの説明では、五山送り火は大文字、妙法、船形、左大文字、鳥居形の順に、少しずつ時間をずらして点火されます。お盆に帰ってきた先祖の霊を送り出す行事。どの山から灯るか順番を思い浮かべて、夜空を探してみて。
出典
この記事は次の資料にもとづいて書いています。
- 1.京都府の住所表記のなぞ - 右が左京区で左が右京区? 「上ル」「下ル」?
- 2.知っているかな?京の通り名 | きょうとこども情報館 | 京都市
- 3.丸竹夷(まるたけえびす)♪通り名の歌で覚える京都の主要な通り・道
- 4.紫宸殿 | 京都御所 | 宮内庁
- 5.本能寺跡 | 京都市公式 京都観光Navi
- 6.社殿・境内案内 | 平安神宮
- 7.時代祭「どんな祭?」|【京都市公式】京都観光Navi
- 8.文化史10 銀閣寺(慈照寺) | 京都市
- 9.水路閣 | 見どころ | 日本遺産 琵琶湖疏水
- 10.南禅寺発祥の湯豆腐を名庭を眺め味わう|南禅寺 料庭八千代
- 11.清水寺の舞台裏 | 音羽山 清水寺
- 12.除夜の鐘 | 知恩院
- 13.鹿苑寺(金閣寺) | 京都市公式 京都観光Navi
- 14.渡月橋は嵯峨天皇の御幸橋 | 旧嵯峨御所 大本山 大覚寺
- 15.五重塔 | 東寺
- 16.飛雲閣 | 観る|お西さん(西本願寺) 参拝案内
- 17.境内と建造物 | 観る|お西さん(西本願寺) 参拝案内
- 18.千本鳥居 | 伏見稲荷大社スマホサイト
- 19.葵祭「どんな祭?」|【京都市公式】京都観光Navi
- 20.祇園祭「どんな祭?」|【京都市公式】京都観光Navi
- 21.京都五山送り火「どんな行事?」|【京都市公式】京都観光Navi
- 22.【京都】錦市場の食べ歩き12選!おすすめグルメをマップ付きで紹介<2025>
- 23.伝えたいのは質素倹約、工夫や感謝など、おばんざいにこめられた人の温もりという隠し味。
- 24.京都三大漬物とは?しば漬け・千枚漬・すぐきの特徴や違いをわかりやすく解説
- 25.ちょっとマイナー?千枚漬け・しば漬けと並ぶ「京都の三大漬物」すぐき漬け
- 26.八つ橋の生と焼きの違いとは?京料理 本家たん熊が教える本物の楽しみ方
- 27.鯖寿司とは?歴史やオススメの名店など
- 28.鯖街道とは
- 29.京都の名物料理「にしんそば」を徹底研究。なぜにしんが蕎麦にのっているの?
- 30.京都名物『にしんそば』とは?発祥や京都で生まれた理由、美味しい食べ方を紹介!
- 31.全国ご当地ラーメン - 京都ラーメン
- 32.統計トピック2 家計調査からみる京都市民のすがた(食料編)
- 33.なぜ?パン消費量日本一の京都 地元人気ベーカリーに理由を聞いてみた
- 34.京都市、コーヒー支出額トップ おもてなし文化が背景?
- 35.ほっとコーヒータイム(115)コーヒー消費量No.1は京都市
- 36.イノダコーヒ本店|【京都市公式】京都観光Navi
- 37.一保堂茶舗 京都本店/喫茶室 嘉木
- 38.京都駅ビルについて | 京都駅ビル
- 39.ニデック京都タワーについて | ニデック京都タワー
- 40.会社概況 | 京福電鉄株式会社
- 41.展望列車「きらら」 | 叡電を知る
- 42.どれくらい分かる? 京都人がよく使う京ことば40選
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